こんにちは。保育士12年目になる杏です。
今回はトイレトレーニングがなかなか進まなかったAくんについて、記事を書いていこうと思います。
そんな方々に向けて、
というメッセージを伝えたいと思っています。
Aくんについて
- 3歳児クラスから入園
- 入園するまで育休中の母&2歳年下の妹と自宅にて過ごす
- 集団生活は初めて
- トイレに座った事は1度もない
- 社会性・言葉等、気になる姿が見られる
トイレトレーニングの経過としては以下の通りです。
トイレに入る事自体拒否
↓
便器に座る事も拒否
↓
トレパン持参もトイレでの排泄は断固拒否
オムツが外れるまで10か月!
結論から言うと、登降園や午睡も含めオムツがしっかり外れるまでに約1年かかりました。
道のりは長かったですが、焦らず急かさず、観察しながら進められたのは本当に良かったと思います。
私がAくんとのトイレトレーニングで心掛けた事は以下の4つです。
- トイレトレーニングが負担にならないようにする事
- 無理はさせない事
- ほんの少しの頑張りをしっかり認める事
- ウソも方便(笑)
Aくんのトイレトレーニングが進まない理由をとにかく考えました。
焦る気持ちが全くなかったと言ったら嘘になりますが、大人が焦ったところでスムーズにオムツが外れるわけではないですからね。
トイレトレーニングが進まなかった理由
Aくんの中で色々な思いがあったのだと思いますが、1番ネックになっていたのは『恐怖心』だと思います。
入園したてのAくんは【トイレに行くこと自体が怖い】という状況だったんです。
なぜ怖いのか?それはAくんにとって未知だったから。
今までお家で過ごしていたAくん。
保育園という場所に慣れるだけでも一生懸命なのに、オムツ以外で排泄しろという未経験の事を要求されるとなると「怖い」という気持ちも芽生えてきますよね。
トイレに行くこと自体に抵抗を感じているのは、しっかり伝わってきたのでしばらく様子を見る事に。
園生活に少しずつ慣れてきた5月中旬に再びトイレに誘うも、何とかトイレに入る事はできても便器に座る事はできなませんでした。
-
個室そのものが怖い
-
トイレで排泄という行為自体が未知すぎて怖い
Aくんの様子から、上記のような理由が考えられました。
…という事で、私がまず取り入れたのはこんな遊びです。
宝探しゲームでトイレの中に入るきっかけを作る
【用意した物】
・イラストをラミネートした物
乗り物が大好きなAくんが興味を持てるよう、飛行機のイラストを印刷&ラミネートしてトイレのタンクに貼っておいて、
「ANAの飛行機探しに行こうよ~!」なんて誘い掛けて、手をつないで一緒にトイレへ…。
見つけたらそれを剥がして帰ってくる…なんて遊びをちょこちょこやっていました。
タンクに貼られたイラストを発見すると「先生、あったよ~」と笑顔で教えてくれるものの、最初の頃は逃げるようにトイレから出てきたAくん。繰り返すうちに少しずつトイレという場所に慣れていく姿がありました。
座るのが怖い!!!
さぁ、トイレに入る事ができるようになったら今度は便器に座ってみたい所ですよね。
ですがこればかりは頑なに拒む。
・力づくで座らせる事はもちろん可能だけれど、嫌な記憶しか残らない方法は絶対に避けたい。
・でも、座る事ができなければその先には進まない…。
どうしたらいいのか頭を抱えていた時期もありました。
なぜAくんは便器に座る事をそこまで拒否するのか??
【Aくんにとっての未知なる恐怖】
- トイレに入る事
- 便器に座る事
- そこで排泄をする事
大げさな言い方かもしれないですが、彼にとって上記は得体の知れない恐怖でしかなかったんです。
となると、やっぱりその『怖さ』を取り除いてあげる事が先決。
【Aくんに伝えたい事】
「大丈夫だよ。怖くないよ」
「落ちないようにそばにいるよ」
「もしも怖いと感じたらすぐに助けるよ」
便器に座る事を指導する事よりも、そんなメッセージを伝えていく事が必要なのかなと感じて関わり方を見直しました。
初めて便器に座れた日
トイレに誘うと体を強張らせて嫌がるAくん。
そんな中でも無理強いはせず、
タンクに触ったら帰って来よう
お水を流したら帰って来よう
と、何かしら目的を持ってトイレに入る時間を作るようにしました。
座る事を嫌がるからと言ってそこで止めたりせず、トイレに行く習慣を維持をしたいと感じたからです。
せっかくトイレに入るという事に慣れた所でしたしね。
そんな事を続けていたある日、「一回だけ座ってみない?」と声を掛けてみました。
もちろん答えはNOでしたが、
先生が体を支えているから絶対に大丈夫だよ
3数えたらすぐに終わりにしよう
そう話してみると、何とか頷いてくれたのです。
ズボンを履いたままではありましたが、約束した3秒間だけ便器に座る事に成功しました。
1度経験してみて、「思ったより怖いものじゃなかったぞ」という事がわかったAくん。
そこからはオムツを替えるタイミングで声を掛けると、怖がる事なく便器に座り10秒数えて戻ってくる…という習慣をつけられるようになりました。
もちろん、怖さから解放されたとは言えトイレへ行く事を嫌がる日はあります。
そんな時はAくんが興味を持ってくれそうな話を振って、気をそらせながらトイレの時間を楽しく過ごせるように関わりました。
「トイレヤダ!」との向き合い方
子ども自身が「ヤダ!」と気持ちを伝えられる事、また時にはそれを受け止める事は大切です。
大切な事ではありますが、
「ヤダ!」と言えば何でも回避できると学んでしまう事はその子にとってプラスになるでしょうか?
- そこからどう気持ちを切り替えていくのか?
- 気持ちを切り替えていくには、大人のどんな関わりが必要なのか?
上記について考えた上で、関わり方を見直していく事が必要なのではないかと思います。
これは時と場合にもよりますし、その子の様子によっても変わってくると思うので、日頃からよく観察しておく事が大切ですね。
何でもかんでも子どもの「ヤダ」をねじ伏せて、大人の思い通りにすればいいわけではないですから、加減が難しいですよね。
初めてトイレでおしっこできた日★
便器に座る事にはすっかり慣れ、身体を支える必要もなくなりました。
「怖くない」と学べたからです。
トイレの時間になると
- 自分でオムツを持ってトイレへ向かう
- 便器に座って10を数える
- オムツを交換して帰ってくる
これらを1人でできるようになりました。
しかし、一向にトイレでの排泄に成功する兆しはない…。
オムツに120%安心感をの抱いているAくんは、オムツを手離す事が難しいようでした。
排尿間隔をチェックし、トレーニングパンツで過ごす時間を作る
最初の頃は排尿間隔が短く、いつチェックしてもたっぷりおしっこをしていたAくん。
そんなAくんも成長と共に少しずつ排尿間隔が空いてきました。
そこで、オムツではなくパンツで過ごす時間を作ってみる事にしたのです。
- 何度かお漏らししたけれど、トイレでの排泄は一向に出来なそう…。
- 排尿のタイミングを見計らってトイレに誘うも、おしっこがしたくなるとオムツに変えたがる。
これらの姿から、もう少しこちら側からの働きかけが必要なんじゃないかと感じたのも理由の一つでした。
さあこの先どうしようか…と、ここでで思いついた事が次の通りです。
オムツをなくしてしまおう!
おしっこがしたくなる時や午睡の時は、自分のロッカーからオムツを取り出してセルフで交換していたAくん。
それではトレーニングパンツを持参している意味がないですし、オムツがあるという安心感が進路を塞いでいるような気がしました。
『噓も方便』と前述しましたが、Aくんが遊びに夢中になっているタイミングを見計らって、ロッカーからオムツを撤去する事にしました。
オムツ、全部使い切っちゃったね‥
明日お家の人に持ってきてもらおうね
そんな風に声を掛けて、Aくんの排尿のタイミングでトイレ誘導を行いました。
排尿のタイミングでトイレに誘って大成功!
- オムツの在庫がない
- おしっこがしたい
- でもお漏らしはしたくない
3つの条件が揃い、ようやくAくんは納得をしてトイレへ行く事ができました。
初めての事に対する不安を人一倍感じやすいAくんにとっては、不安ももちろんあったと思います。
その中で自分の気持ちに折り合いをつけ、トイレに座ったという事だけでも100点満点な事案なのに…。
Aくん自身も驚いていましたが、すぐに得意げな表情に変わって
パパとママにもおしっこできたって言うんだ~♪
なんてお話していました。
お家の人のうれしそうな表情を見て、私も嬉しかったです♥
自宅のトイレを嫌がるお子さんへ
保育園ではすんなりトイレに行くのに、自宅のトイレだと行きたがらない。。
そんな声を時々耳にします。
- 足が届かなくて怖い
- 大きくて怖い
そんな思いを抱いている子どもも多いようです。
保育園のトイレは子ども用サイズなので確かにちょうどいいんですよね。
自宅のトイレでも安心して座れるように、踏み台を用意してみてはいかがでしょうか?
踏み台がある事で体も安定するので、自宅のトイレでも怖さが緩和されて座る事に抵抗がなくなるかもしれません。
恐怖心は和らぐかと思うので、試す価値は十分あると思います。
ちなみに保育園でも体が小さい子に他の為に踏み台を使用する場合があります。
保育園では既製品ではなく、お手製の牛乳パック踏み台が主流です(笑)
お金はかかりませんが、作る手間と捨てる手間が結構しんどいと思うので、自宅用としてはおススメ度は★☆☆☆☆です。笑
トイレトレーニングは長い目で。
結果的に1年近くかかったAくんとのトイレトレーニングでしたが、私は焦らずに進めて良かったと思っています。
無理矢理トイレに座らせるという方法を取る事も正直可能でした。
でも、そのやり方ではAくんの気持ちを傷つけてしまっていたかもしれません。
トイレに対する恐怖心が拭えなかったかもしれません。
保育園や保育士の事が嫌いになっていたかもしれません。
信頼関係を築きながら、そしてAくんの様子を観察しながら、小さな一歩を大切に一緒に頑張ってきたからこそ無理なくゴールへ向かう事ができたのだと思います。
不安になって焦る気持ち、イライラしてしまう気持ち。
ものすご~~~く、わかります。
しかし、残念ながら急かしてもスピードを上げてトイレトレーニングが進んでいくわけではないんですよね。
今回は数多くある中のトイトレ事例のひとつに過ぎないですが、少しでも参考になれば嬉しいです。
コメント